海外拠点で現地スタッフを管理していると対応に困るスタッフは出てきます。
問題があれば注意や処分をすれば終わり、というケースばかりではありません。
勤務態度には大きな問題がないのに管理職として期待した仕事ができない。数分の遅刻を繰り返す。仕事はできるのに部下に手を出してしまう。
こういうとき人事は本人への指導と同時に評価、処分、配置、昇進、雇用形態をどこまで動かすのか判断することになります。
パフォーマンスが低い管理職をどうするか
タイの工場でタイ人スタッフを束ねる係長のポジションに就いていたスタッフがいました。
工場の創業当時からいるメンバーで日本で研修を受けてもらったこともあります。会社として長く育ててきたスタッフでしたが係長として期待していたパフォーマンスが出ていませんでした。
特に問題だったのが報告・連絡・相談。評価では低い点を付け、本人にもフィードバックしていました。それでも大きな改善は見られませんでした。
ここで難しかったのが本人の勤務態度そのものには大きな問題がなかったことです。
普通に出勤して仕事をしています。規律違反を繰り返しているわけでもありません。それでもタイ人スタッフを束ねる係長として見ると十分な仕事ができていない。
本人だけの問題ならまだ対応しやすかったのですが、下にはパフォーマンスの高いスタッフもいました。係長のポジションが埋まっているため、そのスタッフを上にあげることも難しくなります。
そこで役職を下げることも考えました。しかしタイでは本人の同意なしに待遇を落とすことは難しい。パフォーマンスについて警告を出し改善を正式に求めることも検討しました。
ここまで進めるなら労務問題になる可能性も考えます。タイでは労働問題で裁判所に駆け込まれるリスクが日本より高く、勤務態度に大きな問題がないスタッフに対してどう進めるかは慎重になりました。
本人には低い評価の理由を伝え改善してほしい点についても話していました。その後は徐々にパフォーマンスも上がってきたため、警告や役職の見直しまで進めることはありませんでした。
部下に手を出したスタッフへの対応
ベトナムではスタッフが部下を殴ってしまったことがあります。
きっかけは業務上の意見の食い違いでした。口論になり、そのまま上司が部下を殴ってしまいました。オフィス内だったので目撃者多数、本人も殴ったことは認めています。
こういう話だと殴った側が孤立しそうですが実際にはそうでもありませんでした。意外だったのは殴ったスタッフの肩を持つ人もかなりいたことです。殴られた部下は普段から少し生意気なところがあり、周囲の見方も単純ではありませんでした。
それでも手を出したことは別なので会社として警告を出し謹慎を適用しました。
難しかったのはその後です。
処分が終われば二人の関係まで元に戻るわけではありません。会社から仲直りを求めても仕方がありませんし、本人同士の関係にそこまで踏み込むこともできません。
最終的には二人の業務領域を分け仕事上できるだけぶつからない形にしました。部下の方はその後別の理由で退職しています。
スタッフ同士で手が出たケースはこれだけではありません。男性同士だけでなく、女性同士で起きたこともあります。日本で働いていたときはオフィスで社員同士が殴り合いになり人事が対応する場面など考えたこともありませんでした。ベトナムではそれを複数回経験しています。最初はかなり驚きました。
数分の遅刻をどこまで問題にするか
タイでは週に1、2回のペースで遅刻する古参スタッフがいました。
遅れるといっても数分程度。タイムカードで勤怠管理のため、遅刻した時間は分単位で減給されます。
本人も悪いとは分かっていて遅刻してくると毎回気まずそうにしていました。注意すれば反省もします。それでもしばらくするとまた数分遅れてくる。その繰り返しでした。
数分なので本人の仕事に大きな支障が出るわけではありません。ほかのスタッフから大きな不満が出ていたわけでもありませんでした。
それでも古参スタッフが週に1、2回遅刻している状態を放っておけば他のスタッフへの示しがつきません。長く勤める中で本人にも慣れや緩みが出ていたのだと思います。
遅刻した分はルールどおり減給しその都度注意していました。古参スタッフなので放置するわけにもいきませんが、数分の遅刻を繰り返すたびに処分を重くしていくこともしませんでした。
通訳に社内情報が集まる問題
タイで一緒に働いていた派遣通訳はかなり職人気質の人でした。
一人で仕事を進めるタイプで文書のタイ語・日本語翻訳をお願いしても、こちらの優先順位や納期に合わせて動くのが苦手でした。翻訳能力とは別のところで社内で一緒に仕事をするには難しい部分がありました。
派遣だったため契約満了で終了しました。
通訳という仕事には別の難しさもあります。
経営、人事、現場と部署をまたいで仕事をするため広い範囲の社内情報が入ってきます。日本人駐在員の帰任やスタッフの退職を公表前に知ることもあります。賞与の月数や会社の財務に関する情報が入ることもあるわけです。
パワハラの相談で通訳に入ってもらうこともあります。こうなると人事と同じ水準で内容を秘匿してもらわなければなりません。
長く在籍すれば本人にそのつもりがなくても、各部署に共通して関わるスタッフになります。社内の情報センターのような存在になっていきます。
私は同じ通訳を長期間固定するより一定期間で入れ替えられる状態にしておく方がいいと考えています。その意味でも通訳は正社員で抱えるより派遣で置く方が合っていました。
